ここから本文です。

SHIBUYA TSUTAYA | LIGHTING STYLE Vol.6 | P.L.A.M. | 照明設計サポート製品を探す

LIGHTING STYLE Vol.6
07 SHIBUYA TSUTAYA

Lighting Method

明るさ感指数Feu設計+LED照明により明るさと商品演出効果を高めながら、省エネを実現。

リニューアル前

リニューアル前
CCDカメラを使った専用測定機を用いてFeu値の実測を行った

リニューアル後

リニューアル後


フラッグシップ店『SHIBUYA TSUTAYA』の省エネ改装計画を推進

新規店舗を中心に、省エネ設備の導入を推進されていたTSUTAYA様。改正省エネ法の施行を機に、直営店26店舗の省エネ改装計画の検討を本格的に進められるようになった。
まず各店舗のエネルギー使用状況の調査を行い、それぞれの省エネ率を試算し、省エネ改装計画のモデル店を検討。その中で全国最大級規模のフラッグシップ店『SHIBUYA TSUTAYA』は、10周年を迎えることもあり、モデル店に選出された。
『SHIBUYA TSUTAYA』は1フロアを増床する改装により、規模がさらに拡大。そのうえ長時間営業のため、照明のランニングコストの大幅な削減が求められた。
そこでLED照明の採用を検討。『SHIBUYA TSUTAYA』店長 田島様を中心に、照明設計における省エネ化を進めることになった。改装にあたり、田島様から「省エネ化はもちろんのこと、商品の見やすさにも配慮してほしい」とのご要望をいただいた。そこで1Fの照明設計に明るさ感指標Feuを活用することにした。

メインとなる高天井空間で見通しのよい1FフロアのFeu値を測定

メインとなる高天井空間で見通しのよい1FフロアのFeu値を測定
2010年3月2日 21:00から測定
(A)センター街側エントランスから奥壁面を望む


LED照明への切り替えとFeu設計による台数削減で、消費電力を50%以上削減

改装前は、HIDやハロゲンランプの照明器具が中心で、明暗の差のある空間だった。改装後は、お客様が快適に商品を選ぶことができる明るい空間になるように、改装前よりもFeu値を高く設定。LSRによるシミュレーションで、明るさを確認しながら照明設計を行った。
ベース照明に、高出力のLEDダウンライトを採用して、明るさをアップ。さらにエントランスから見たときの明るさ感を高めるため、Wエコのウォールウォッシャで壁面を照射し、鉛直面の照度を高めた。またディスプレイや商品のライトアップに、高演色のLEDスポットライトを採用して演出効果を高め、商品が引き立つように配慮した。
Feuの活用で、改装前に比べ空間全体の明るさ感を高めながら、照明器具の台数と消費電力を削減。改装前の使用電力量はトータル78.66kWh(5F除く)、改装後は36.42kWhに。消費電力約53.7%の大幅削減に成功し、年間約1,000万円のランニングコストを削減。今回の省エネ改装計画は、他店舗の照明設計の新たなモデルとなった。

リニューアル前・後19:00定点観測

全フロア削減率(5F・7Fのぞく)
※ 不点灯ランプ分含む

2F セルCDフロア竣工後

2F セルCDフロア竣工後
温かみのある電球色の空間。水平面の照度を落とし、鉛直面に光を照射することで
「明るさ感」を効果的に演出し、省エネにつなげている。


Owner's Comment

店内の明るさ感が高まり、長時間営業でも納得の電気代に

田島 直行様

田島 直行様

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
SHIBUYA TSUTAYA店長

 

・独自の明るさ感指標FeuとLED照明の導入で省エネを徹底

オープン10周年を機にした売場リニューアルに際し、照明設備の大幅な見直しを行いました。朝10時から深夜2時まで年中無休で営業しており、長時間営業であるがゆえに消費電力を抑えた省エネ化が最大の課題でした。そこで、パナソニック株式会社さんから、LED照明を導入すると同時に、照明位置の見直しを提案されました。人が感じる明るさ感を数値化したFeuという指標により、空間全体の明るさ感を向上させながらも過剰な照明の削減が可能となりました。こうして空間設計から店舗の照明計画を見直し、照明設備を低消費電力のLED照明に交換したことで、商品が見やすいイメージ通りの明るさの空間を実現すると同時に、消費電力量は改修前と比較して合計で約5割も削減することに成功しました。

・フロアごとの商品特性に合わせ、商品を引き立てる照明設計を実現

商品をさらに際立たせるよう、ベースにはLEDダウンライトを使い、注目度の高い什器付近には演色性に優れたLEDスポットライトを採用しました。また、フロアごとに展示される商品が異なるため、それぞれ目的に合わせた照明設計が必要でした。レンタル・ゲームソフトのフロアは商品が見やすいように、白色のLEDダウンライトで明るい印象を演出。一方、書籍販売のフロアは手元の明るさを重視し、高演色のダウンライトを中心に配置しました。

・長寿命のLED照明の採用によりランプ交換の手間やコストを削減

既存の照明では台数と種類が多いために、ランプ交換の頻度が高く、手間がかかりすぎることも問題のひとつとなっていました。しかも天井が高い一階部分はランプ交換を専門業者に依頼しており、余分なコストがかかっていました。LED照明を採用することで、改修後はランプ交換の手間やメンテナンス費用を大幅に削減。取替用ランプのストックを減らすこともでき、助かっています。


EC's Eye

Feu+LEDで得られたCS(顧客満足)

里見 杉子

里見 杉子

商業照明EC

 

DVDやCDレンタルの売場形態では、商品を扱ううえで背の高い什器の使用が多く、販売促進のポスターなども数多く存在し、「鉛直面」への光演出が重要となる空間であることが言えると思います。
今回、Feuの考え方において照明計画をすすめてきたわけですが、水平面の照度を落としつつ、鉛直面を効果的に照射することで「明るさ感」を演出し、省エネにつなげていくことがいわゆる鉛直面に展示されている商品へのVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)効果も兼ねた照明手法となり、2重の効果が得られました。
「空間の明るさ感を表現するための光が、実は商品を照らす光ともなっている…。」
ですので、商品のもつ色を忠実に再現できる高演色タイプのLEDや、セラメタプレミアSの演出用照明を意識して採用したり、色温度の違いで雰囲気演出を試みました。
光源種の集約を意識して照明を選んだことは、交換用ランプをストックするスペースの大幅なスケールダウンにつながりました。また、管理面でも単純化され、メンテナンス面でも手間とコストを削減できる結果となっています。
今回の照明リニューアルは大幅な消費電力の削減となったうえ、明るさ感を損なわずしっかりとした商品演出につながったと自負しています。オーナー様の満足は私自身の満足として捉え、今後も環境に配慮した効果的な光演出をご提供できるよう努めてまいります。