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茨城県つくば市に建つ「イーアスつくば」は約15万m2の敷地に221店舗が入る北関東最大級の大型複合商業施設。共用部のベース照明として約4,000台のセラメタプレミアSダウンライトを使用していたため、オープン当初から電気代が高いことが課題だった。 震災後、節電対策が必要になったことをきっかけにLEDへ全面リニューアルし、消費電力量を約68%削減することができた。また、LED照明の光は熱線をほとんど含まないため、室温上昇を抑えることができ、空調の省エネにも貢献している。グループ内の大型商業施設でLED照明を全面導入する初のケースとなるため、器具選びは慎重に検討。数社の器具を比較し、パナソニックのLED照明が他の大規模商業施設に採用されている実績と、Feuによる照明設計の考え方への共感から採用に至った。 Feuによる照明設計で、これまで明るすぎる印象があった床面の照度を下げ、高齢者や小さな子どもでも安心して施設内を歩いたり見たりできる明るさを確保しつつ省エネを図った。
?@ 東日本大震災以降、節電意識が高まる
(減灯営業により「明るさ」への意識が変化)
?A 減灯によるイメージ悪化
?B LEDによる省エネ化を検討
(節電時の電力量で全点灯し店内環境を改善したい)
提案のポイント
?@ Feu×LED活用によるさらなる省エネ化
?A 既存器具の埋込穴を生かした簡単リニューアル
?B 省エネと快適空間の両立
(施主様にもお客様にも喜ばれる)
従来手法による照明設計
Feu値 30〜40、500〜800 lxが目安
・安定時で平均600〜800 lx程度(モレ光含まず)
・照度のみに頼った照明計画
・省エネ・環境配慮の面でやや劣る(ランプ廃材等)
これからの照明設計
Feu値 15〜20前後、300〜500 lxが目安
・水平面と鉛直面の明るさ感(=Feu理論)の2軸による検証
・テナントの照明・演出効果(シアター効果)を妨げない設計
・改正省エネ法を順守したエネルギー管理の徹底
Feu値と照度の目安(大規模商業施設)
空間イメージの比較
リニューアル前後にFeu値の測定を実施。計画通りの明るさ感になっていることを、数値を使って検証。天井面や壁面を意識的に照らすことで、適切なFeu値が実現している。
LEDには従来光源にはないメリットが数多くある。また、光の質を追求するパナソニックのLEDならではの特長も、豊かな光環境の実現に貢献している。
目的に応じてLEDを使い分けることで、これまで難しかったライティングが可能になり、省エネだけではないLEDのメリットが活かされる。
石井 正一氏
大和ハウス工業株式会社 SC事業部
イーアスつくば
総務シニアマネージャー
「イーアスつくば」は当社としても最も大規模かつ電気使用量も多い施設ですので、省エネは大きなアピールになると思いました。当初から照明の省エネは課題でしたが、東日本大震災をきっかけに待ったなしで取り組むことになり、リニューアルへ向けて動き出しました。内田さんから提案をいただくまでは私たちも通常の照度を基準にした考え方でした。数社から提案をもらい、パナソニックだけが照度に空間の明るさ感を組み合わせた新しい考え方を提示し、ちょうど私たちが考えていたことと一致したことから、納得し共感して採用させていただきました。LEDは粒々感が気になると心配していましたが、ちょうどワンコアタイプのLEDが発売される頃でいくつかサンプルを付けていただいたところ、一見LEDとは気づかないくらい自然で、安心しました。リニューアル後も、お客様はもちろんテナントの方の中にもLEDだと気づかない方がいらっしゃるくらいです。
つくばは国際的に発展している研究学園都市で、エネルギーに対する感心が高く、節電意識も高い。そうしたお客様にも好評で、リニューアルには満足しています。照明の消費電力量を大幅に削減することができたのは何より大きな成果でした。
内田 信吾
東京商業照明EC
震災以降の節電要請に応じた店内照明設備の間引き点灯(1/3点灯)は省エネの観点で貢献しているとはいえ、店内環境は陰鬱として施設側はもちろん、ご来店いただくお客様にとってもある意味で我慢を強いられた状況であったと思います。今回リニューアルのご相談をいただいて調査を進めていく中で、ただ単純に既存同等のLED器具に置き換えるのではなく、通路環境としての「あるべき姿」を器具仕様、設定照度、空間の明るさ感を基本軸にご提案させていただき、まさにFeuの思想で大幅な省エネに貢献することが可能であることを確信しました。改修により、従来HID光源の不快なグレアを軽減し、各テナント様がより引き立つ照明効果を狙うことで、一般的なLED改修以上の省エネと快適な通路環境の両立に貢献できたと思います。