夏場の暑熱によるストレスで乳牛の搾乳量や受胎率が低下
西日本最大の畜産地帯を形成する熊本県菊池市旭志で、酪農と和牛繁殖を営む田中牧場。生産者の高齢化などで生乳の生産量が年々低下する中、価格が安定してきたことで、一層の経営安定化を目指して、酪農の規模拡大を行うことにしました。
酪農で飼育される乳牛のホルスタイン種は暑さに極めて弱く、搾乳量の低下、受胎率の低下による搾乳開始時期の遅れといった問題が夏場に発生。特に高温多湿で暑熱が厳しい熊本では、6月から10月にかけて暑さ対策を行う必要があります。
就農して9年になる3代目の田中正輝氏は、規模拡大に向けて新牛舎を検討。夏場対策をいかに盛り込むかが大きな課題でしたが、「このあたりの牛舎を見たがこれという答えがなく、どういうふうにすればよいかずっと悩んでいた」と語ります。
パナソニックより提案があったのは、両側面に設けた複数のファンで強制的に入気(プッシュ)と排気(プル)を行う「プッシュプル方式」を採用した、従来にない閉鎖型牛舎。流体解析技術をもとにした換気ファンの配置により牛舎内に均一な空気の流れをつくり、乳牛の体感温度を下げる、という独自の夏場対策に大きな可能性を感じたとのことです。