農業生産法人 株式会社TKF

夏の暑さに弱いほうれん草やベビーリーフを周年栽培することで安定供給したい。パッシブハウス型農業システム 農業生産法人 株式会社TKF

お客様の課題

「茨城県では夏にほうれん草が栽培できない」という常識を覆して、
年間を通して安定供給したい。

株式会社TKFは、平成10年に設立された農業生産法人。現在、茨城県つくば市と明野町で、ハウス450a、露地1400aの農地で野菜を栽培し、流通業者に販売されています。
主な栽培品目はベビーリーフを中心とした葉物野菜で、ミニ根菜やハーブなどからジャガイモやカボチャまで品目を拡大中です。
栽培へのこだわりは、土づくり。会社設立時から農薬と科学肥料を使わない農業を追求され、良質な堆肥をしっかりと土壌に入れることで、土の力を育み、味も香りも元気な野菜を栽培されています。「良いものを作るという思いを持っていなければ、生産者になる資格はない。良いものをつくるのは当然。野菜を販売する事業なので、いかに安定供給するかを一番重視しています」と語るのは、農業生産法人 株式会社TKF代表取締役社長 木村誠氏。
圃場における生産回転を増やし、1年を通して野菜を栽培することは、生産者だけでなくバイヤーにとってもメリットです。
たとえば、夏の暑さに弱いほうれん草の場合、夏場は北の産地、冬場は都市圏に近い産地というように、季節によって各生産者に連絡し、途切れないように手配と調整をすることは大きな手間です。このため、年間を通しての通年出荷契約はバイヤーにも喜ばれ、生産契約へと繋がります。
今回、TKFでは「パッシブハウス型農業システム」を導入してほうれん草の他、主力商品であるベビーリーフの栽培にもチャレンジされることとなりました。

つくば農場に設置されたパッシブハウス型農業システム

つくば農場に設置されたパッシブハウス型農業システム

取り組み

それぞれの野菜に必要な光と温湿度に合わせて、太陽光・水・風の環境をチューニングし、栽培品目を拡大。

パナソニックのパッシブハウス型農業システムは、太陽光・温湿度をセンシングして、日光調整・加湿冷却・気流生成によって、植物の生育に最適な環境をコントロール。生育の状態や時間の変化に合わせて、ハウス内の環境を自動で制御するシステムです。自然の力を生かし、栽培環境をコントロールするこによって、使うエネルギーを最小限に抑えます。
「ハウス栽培で、どのような環境を整えれば野菜が良く育つかを考えた場合、このパッシブハウスでは必要な要素が一つになってシステムとして動くというのが第一の魅力でした。もう一つは、『土づくり』を生産者に任せている点。当社のこだわりである『土づくり』を、そのまま生かせることがメリットでした」と木村氏は語ります。
まだ、導入して半年ですが、これまで夏場にはまったく栽培できないと言われていたベビースピナッチという、ほうれん草の栽培に成功。ベビーリーフ栽培のための実験も始まっています。
「パッシブハウス型農業システムは、栽培サイクルの早いものが向いている。栽培品目によって、水や太陽光の量も異なるので、そのチューニングを始めたところです。ほうれん草より、もっとサイクルの早いベビーリーフやミニ根菜の栽培も実験中です。当社の一番力を入れているベビーリーフがこのシステムで栽培できることを楽しみにしています」
「農業をやりたいと言う青年が増えていますが、成長して独立する際に初期投資はある程度かかるが、確実に周年栽培できるというシステムは大きな魅力だと思います。
また、ハウス栽培では側窓の閉め忘れなどの管理ミスが生産失敗に直結するので、圃場が離れていたりする場合でも、自動制御による省力化は大きな魅力です」と木村氏。
TKFでは、若者を積極的に採用する少数精鋭経営により、生産拡大と農業者育成を進めていこうとされています。

ほうれん草を栽培中のプラント内部

ほうれん草を栽培中のプラント内部

環境制御システム

環境制御システム

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