最終エネルギー消費とは、発電所や製油所でのエネルギーロスを除外した、産業活動や交通機関、家庭など、需要家レベルで消費されるエネルギーの総量をいう。需要家が自家発電を行う場合には、消費した燃料ではなく、発電した電気を消費した段階でカウントする。1kWh の電気は3,600kJの理論値で換算される。
資源が有限の化石燃料や原子力とは異なり、基本的にエネルギーが枯渇せず、自然現象の中で更新されるエネルギー。具体的には、水力、地熱、太陽光、太陽熱、風力、波力、潮力、海洋温度差などがある。
日照時間の長い夏の期間、時計を1時間進めて運用し、太陽光を有効に活用しようとする制度。欧米ではほとんどの国が採用している。日本でも1948年に実施されたが、反対の意見が多く4年後には廃止された。サマータイムの実施で太陽光を利用できる時間が増え、省エネルギーになると考えられ、日本でも復活が検討されているが、生活のリズムを狂わすなど反対意見もあり、実施されていない。
工場の生産工程に使う蒸気製造設備をいう。蒸気ボイラーの形式には、貫流ボイラー、炉筒煙管ボイラー、水管ボイラーなどがある。
1)貫流型ボイラー
給水ポンプでボイラー内の蒸発管へ水を押込み,ボイラー出口から蒸気を取り出す型式で、長い管群系だけで構成されている。一端から給水ポンプによって押し込まれた水が予熱・蒸発・過熱され、他端から過熱蒸気となって取り出される。
2)炉筒煙管ボイラー
ボイラーの胴内の水中に多数の管を配置し、その管の中に高温の燃焼ガスを通して水を加熱し、蒸気を発生させる方式。
3)水管ボイラー
胴内に水を通した多数の管を配置し、管の外から加熱して蒸気を発生させる方式のボイラー。高温・高圧の蒸気が多量に得られる。一般に比較的小径のドラムと多数の水管で構成され、高圧に適し、大容量のものも製作可能。
産業用蒸気ボイラー以外には、発電用(大型)蒸気ボイラーや空調用(小型)ボイラーがある。
燃焼空気に酸素を添加して、通常より酸素濃度を高めて(酸素富化して)燃料を燃やすこと。酸素が増加した分、空気中の窒素が減少し、排ガス量が減少するので、排ガスとして持ち出される熱量が減少する。その結果、単位燃料当たりの利用熱量が増加し、必要燃料量が削減できる。また、燃焼温度を高める効果もあるので、高温ガスを必要とするガラス溶解炉などでは、更なる省エネが図られる。
ESCOにおける契約形態の一つ。改修工事の資金をESCO事業者が用意し、顧客は一切のリスクを負わない。省エネ改造による利潤から初期投資と金利を返済し、残りをESCO事業者と顧客の間で契約に基づいて配分する。もし所定の利潤が得られなければ、ESCO事業者はその額を保証する。契約期間後の利潤はすべて顧客の取り分となる。顧客側は専門的な知識が十分でなくてもしっかりしたESCO事業者を採用すれば、相応の省エネとともに利潤を得ることが可能。
省エネ法第73条(建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準となるべき事項)に基づいて規定された省エネ住宅の基準。「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」および「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計、施工及び維持保全の指針」として平成11年3月に告示された。上記に定められた基準と同等以上の性能を有する工法かどうかの評価を行い、適合すると判断されたものに対して「次世代省エネ基準適合住宅」の評定書が交付される。
(参照:https://www.ibec.or.jp/nintei/jisedai/)
ビル管理法で規定された建築物環境衛生管理基準のこと。特定建築物(事務所ビルでは床面積3,000m2以上)では、下記の7項目を基準値以下にしなければならない。また、2ヶ月に1回、計測・記録し、データを保管しなければならない。
1)浮遊粉じんの量:空気1立方メートルにつき0.15ミリグラム以下
2)一酸化炭素の含有率:10ppm以下
3)炭酸ガスの含有率:1,000ppm以下
4)温度:1.17度以上、28度以下
5)相対湿度:40%以上、70%以下
6)気流:0.5m/s以下
7)ホルムアルデヒド:0.1mg/m3以下
建築物環境衛生管理基準における室内CO2濃度規制値は「1,000ppm以下」。この規制値はCO2そのものの有害限度ではなく、空気汚染の指標としての許容濃度。室内CO2濃度は取り入れ外気量と関係しているので、CO2濃度を適切に管理することにより外気取り入れ量の削減が可能となり、省エネルギーにつながる。
建築物環境衛生管理基準における室内相対湿度規制値「40%以上、70%以下」。夏季は70%超えてから除湿し、冬期は加湿して40%を維持する。湿度が下限値以下の場合、ウイルスの死滅率が低く風邪などの危険が増すため、保健の観点からは50%程度が望ましいといわれている。
原油から揮発油・灯油・軽油などを分留したあとの、残りの高沸点の油。黒色で粘度が高く、比重0.9〜1.0。真空蒸留すると潤滑油・アスファルトが得られる。ディーゼル機関・大型ボイラーなどの燃料に使用。
重油は動粘度によりA重油とC重油に大別される。
A重油は、引火点60℃以上、動粘度20mm2/s以下、残留炭素分4%以下、硫黄分2.0%以下の性状を有するもの。中小工場のボイラーや小型船舶のディーゼルエンジン、ビルやビニールハウスの暖房に使用される。
C重油は引火点60℃以上、動粘度20mm2/s以上、残留炭素分4%以上、硫黄分2.0%以上の性状を有するもの。電力、科学、パルプ工業等のボイラーや大型船舶のディーゼルエンジン用燃料として使用される。
製品の省エネ性能が目標値に対してどの程度であるか、%で表される数値。省エネ基準達成率が大きい製品ほど省エネ性能が優れていることを表し、光熱費を節約する製品である。100%以下であればまだ基準エネルギー消費効率に達しておらず、100%以上になれば達していることを表す。%が大きければエネルギーの使用がより効率的であることを示す。
優れた省エネルギー性を有する民生用エネルギー利用機器・資材およびエネルギー利用システムを広く公募し、厳正な審査の上表彰することによりその開発支援・普及促進を図り、資源・エネルギー有効利用を促進しつつ、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量削減に貢献する表彰制度。
(財)省エネルギーセンターが平成2年度に創設した。家庭用部門、業務用部門、自動車部門からなる。優秀なものには、経済産業大臣賞、資源エネルギー庁長官賞、省エネルギーセンター会長賞、中小企業庁長官賞を授与する。受賞製品は製品、カタログ等の宣伝媒体に各賞のロゴを添付することができる。
建物の機器や電力消費、室内発熱、使用人員など現実のビルの特性を把握し、これに合わせて、空調や照明等の設備機器・システムを自前調整し運用管理することで省エネを図ることを「省エネチューニング」という。
標準気圧の時、水の飽和温度は100℃で、圧力が高くなるに従って飽和温度は高くなる。このとき蒸発してできた蒸気を「飽和蒸気」というが、これにはごくわずかな水分が含まれているので湿り蒸気と呼ばれる。1kgの湿り蒸気の中に、χkgの乾き飽和蒸気と(1?χ)kgの水分が含まれている場合、χを「乾き度」、(1?χ)を「湿り度」という。
蒸気を排出せずに、蒸気使用機器や蒸気輸送配管中のドレンを自動的に排出する装置。蒸気だけのときは弁を閉じ、ドレンが溜まると自動的に弁が開いてドレンを排出する機構を備える。形式には、溜まったドレンの浮力で弁を開閉させるフロート式、ドレンと蒸気の比重差を利用したバケット式、蒸気とドレンの温度差を利用したベローズ式、バイメタル式、ドレンと蒸気の熱力学的特性差を利用したインパルス式、ディスク式などがある。
工場で使用した飽和蒸気の凝縮水、あるいは蒸気輸送配管中の放熱で一部凝縮液化した飽和水を蒸気ドレンという。ドレンは飽和蒸気の約20%の熱量を有しているので、そのままピットに廃棄するのではなく熱量を回収するように計画すべき。蒸気トラップから取り出したドレンをポンプで直接ボイラー給水側に回収するか、温水タンクに蓄えて、各種の加熱目的に使用することで省エネルギーが図れる。
飽和水を等圧の下で蒸発して乾き飽和蒸気にするのに必要な熱量。逆に、乾き飽和蒸気が飽和水になったときに放出される熱量を凝縮熱といい、蒸発熱と凝縮熱は等しい。
単位面積を単位時間内に通過する光エネルギーを目に感じる光感覚によって測った効率。照明器具の配光特性や内装材の反射率などによって決まる。
ねじれのあるオス・メスの歯をつけた2軸のスクリューで構成され、吸入口からの空気がねじれた歯溝のかみ合わせにより吐出口に送られる。オイルシール式と無給油タイプがある。
固定スクロールの中でもう一つの旋回スクロールが偏心運動することで高い圧縮効率を実現するコンプレッサー。2つのスクロールは非接触であり、吸入・排気弁がないので耐久性が高い。オイルを使わないので排気がクリーン。振動が少なく運転音が静か。クルマのクーラーやパッケージエアコンに利用されている。
変圧器の効率は負荷によって刻々と変動するので、一日あたりの効率を用いる。これが全日効率。
全日効率=出力電力量/(出力電力量+損失電力量)
ただし電力量はそれぞれ1日分を合計したもの。
全熱とは、空気の温度、湿度を合わせたエネルギーのことをいう。冷暖房中の室内では空気の入れ替えが必要だが、換気をするとせっかく冷暖房した熱が外に逃げてしまう。全熱交換器は、温度、湿度を合わせた空気中のエネルギーを逃がさず、室内の空気を入れ替える設備。回転型と静止型がある。回転型はローターの回転により排気から吸気に熱回収する熱交換器で、ローターには吸湿性を持たせている。静止型は特殊加工紙を通して外気と室内機が交差する際に熱と湿度を移動させる方式
潜熱とは、固体から液体へ、液体から気体へ(あるいはその逆)物体が変化するとき、 温度上昇を伴わないで状態が変化する際に費やされる熱をいう。潜熱負荷とは、冷暖房負荷のうち水蒸気量の出入りによる増減をいう。 人体や取り入れ外気、すきま風等による水蒸気がその発生源となる。
ゾーニングには、温度制御を行う上でのゾーニングと、空調機の受け持ち範囲を示すゾーニング(空調機ゾーニング)の二つの考え方がある。空調する区域を熱負荷や設定温度などによっていくつかに分け、それぞれの区画では他の区画と互いに無関係に空調できるような空調設備を設けることが求められる。これにより、各室の温度調節が容易になる。マルチエアコンシステムを採用すれば、容易にゾーニングができる。